令和5年度施政方針
令和5年度施政方針演説~令和4年度精華町議会定例会3月会議町長挨拶要旨~
1.はじめに
精華町議会議員の皆さん、おはようございます。
本日は、令和4年度精華町議会定例会3月会議にご参集いただきまして、誠にありがとうございます。
平素は精華町発展のために、町行政全般にわたりまして、格別のご尽力とご協力、並びにご意見、ご指導を賜っておりますことに、心からお礼を申し上げます。
令和4年度定例会におきましては、度重なる特別会議の開催や会議期間の延長など、柔軟なご対応をいただきまして、誠にありがとうございました。
改めて、御礼申し上げます。
さて、本日は、令和5年度の当初予算案をはじめ、新年度の町政運営に関わる諸議案を提案させていただくわけでありますが、それに先立ち、三原議長のお許しを得て、町長任期の最終年にあたる令和5年度の施政方針として、私の所信の一端を申し上げます。
令和元年10月に始まった私の任期の大半は、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、様々な制約のもとでの執行となりました。
そうした中にあっても、私の公約の「一丁目一番地」でありました中学校給食実施に向けた取り組みをはじめ、学研狛田地区開発の促進と一層の企業誘致、京阪奈新線延伸実現に向けた取り組み、健康づくり拠点の整備推進など、多くの分野で前進を図ることができました。
これもひとえにここにお集りの議会議員の皆さんのご理解とご支援の賜物であり、心より感謝申し上げます。
すべては「精華町の未来のために」。
私は、任期の最後の最後まで、この信念を貫き、公約の三つの柱である「学研都市のまちづくり」、「子どもを守るまちづくり」、「三世代が支え合うまちづくり」の実現に向け、全身全霊でまい進してまいります。
2.基本認識
それではまず、施政方針の前提としまして、町政を取り巻く内外の情勢に対する、私の基本認識を3点申し述べます。
(1)厳しさを増す国際情勢
まずは「厳しさを増す国際情勢」について、であります。
昨年、2月24日から始まったロシアによるウクライナ侵攻には、私も大きな衝撃を受けました。
一般市民に対する残虐行為は、明らかに人道に対する罪であります。
そして、拒否権を持つ国連常任理事国自身による国際平和秩序を破壊する試みは決して許されるものではありません。
核の脅しなどは言語道断であります。
一刻も早い戦争の終結と新たな平和の構築を願わずにはいられません。
また、米中対立の激化や朝鮮半島の緊張など、我が国の安全保障を取り巻く状況は深刻さを増しています。
平和あっての地方自治であります。
私は、基地所在自治体の首長として、基地との共存には住民の理解が不可欠であり、一層の住民福祉の向上策を国に求めていきたい考えであります。
今年はG7主要国首脳会議が広島で開催されます。
核の脅威がこれほどまでに高まった今であるからこそ、世界で唯一の被爆国として、各国首脳を平和記念資料館に招き、爆心地で何が起きたのかを知ってもらうことは、何物にも代えがたい「核兵器のない世界」に向けた取り組みであります。
また、地球規模の温暖化による干ばつに加え、今回の戦争により厳しさを増した食糧問題も、食料自給率が低い我が国にとって大きな不安材料であります。
狭い国土で1億人を超える人口を支える食糧生産は、もとより困難です。
食糧問題の解決は、学研都市当初の建設理念に掲げられた人類的課題の一つであり、本町としても、改めて足元の農政を見つめ直すとともに、先端技術を用いた「フードテック」と呼ばれる食品関連産業なども注目していく必要性を感じています。
(2)急速に少子化が進む日本
次に、「急速に少子化が進む日本」について、であります。
我が国では昨年一年間の出生数が速報で80万人を下回ったとのことです。
いわゆる「団塊の世代」最終年の昭和24年、西暦1949年には出生数が約270万人であったことを考えると、三分の一以下になったわけであります。
果たして未来を担う子どもたちの声は政治に届くのか、これだけ急速な少子化を目の当たりにしてもなお、私たちは子どもたちに巨額の将来負担を背負わせようとしています。
私たち、今を生きる全ての世代が、子どもたちに何を残せるのかを、もっと真剣に考えなければならない時期に来ています。
今後、政府が掲げる「次元の異なる少子化対策」を私たち地方自治体も取り組むことになります。
一方で、常日頃、私は今の社会を子どもたち中心の社会へと根底から組み直す必要があると感じています。
これまで我が国では「失われた30年」の間、
賃金は上がらない、
子育てや教育には多額の費用がかかると言われる、
結婚、出産ができる安定した収入が得られない、
若者たちはこうした状況に追いやられる傾向にあったと感じています。
もしこれが子どもたち中心の社会であればどうでしょうか。
親の収入が多い、少ない、親が結婚している、していないなどといった、親の都合や家庭の事情に関わらず、すべての子どもたちが「国の宝」、「まちの宝」として祝福され、大切にされ、保育も教育も保障されるとしたら、出生率は劇的に変わると考えます。
それこそが「新時代」と呼べる社会であります。
もちろん、精華町一町にできることは限られています。
それでも本町は、昭和43年の「こどもを守る町」宣言以降、保育所待機児童ゼロ政策や、放課後児童クラブの充実、障害児保育や特別支援教育充実へのチャレンジなど、他のまちに負けない多様性と包摂性を重視する取り組みを進めてきました。
学研都市を活用し、地域経済を強化し、財政力を高め、すべての子どもたちの夢が叶うまちづくりを進めたいと痛感しています。
(3)未来の学研都市精華町
もう一つは、「未来の学研都市精華町」について、であります。
精華町では、この度、2か年をかけて総合計画を策定しました。
今回は、学研都市精華町の未来をデザインする中で、今後、本町における最後の学研地区開発である学研狛田地区開発の完了を想定し、その時点で足りないと考えられるものは何なのか、そういった視点で調査を重ねてきました。
その結果、明らかになったことは、仮にいま進められている学研狛田地区への企業立地が順調に進んだとしても、本町が高度な住民サービスを提供しつつ、学研都市を将来にわたり支えることのできる自立したまちづくりは実現できない可能性が大きいというものでした。
まず、産業集積が十分でありません。
これは以前から要望を重ねてきたことですが、学研狛田地区には、これまでの「研究所」や「研究開発型産業施設」だけでなく、より多くの雇用と税収をもたらす「生産施設」の立地を認めてもらう必要があります。
それが認められないのであれば、学研地区内だけでなく、周辺地区に新たな産業集積ゾーンを設定する必要があります。
力強い地域経済の形成には、「川上から川下まで」すそ野の広い産業集積が不可欠です。
人口定着も不十分なままです。
精華町が学研都市の中心地として将来にわたる発展を続けるには、市制要件の下限でもある最低5万人の人口フレームを堅持する必要があると考えます。
学研狛田地区を産業集積拠点として整備する一方、新たな住宅ゾーンを駅周辺など周辺地区に移し、かつ高度利用などを組み合わせてコンパクトシティのまちづくりを進める必要があります。
さらには、学研都市建設の総仕上げには京阪奈新線の延伸が欠かせません。
こうした学研都市精華町の未来デザインは、今回の取り組みに参加いただいた多くの住民の方々からの熱い思いにも表れていました。
多くの皆さんと将来ビジョンを共有できているという実感があります。
来月から第6次総合計画の計画期間がスタートします。
毎年度、住民の皆さんと共に、計画の進み具合を検証し、絶えざるアップデートを重ねていきたいと考えています。
3.基本方針
こうした基本認識をふまえつつ、私の公約実現に向け「精華町の未来のために」必要な施策に重点を置き、令和5年度からスタートする第6次総合計画の体系に基づいた次の四つの基本方針のもと、町政を進めてまいります。
なお、令和5年度の予算編成の前提となる財政状況などにつきましては、後ほど、一般会計当初予算の提案理由の説明において、副町長からその概要を説明させていただきます。
(1)活力あふれ魅力ある学研都市のまちづくり方針
第一の方針は、「活力あふれ魅力ある学研都市のまちづくり方針」であります。
学研都市建設概成後のまちの未来像を見据え、これからの10年間が、学研都市精華町の持続的な発展を確固たるものにできるかどうか、極めて重要であります。
こうしたことから、第6次総合計画で示したまちづくりの基本的な方向性に基づき、産業集積と人口定着を計画的に誘導してまいります。
まずは、令和5年度から2か年をかけて改定する都市計画マスタープランにおいて、土地利用の方針や地域別構想を明らかにするとともに、鉄道駅周辺への人口定着の誘導など、コンパクトシティの形成に向けた立地適正化計画の策定に取り組みます。
また、学研狛田地区に必要な上下水道など公共公益施設の整備を着実に進めるとともに、学研狛田東地区への企業立地の推進と学研狛田西地区の早期事業化を促進します。
そして、JR下狛駅周辺整備に備え、駅前広場用地の先行取得に取り組みます。
市街地整備では、菅井植田地区における土地区画整理事業の支援と併せて山手幹線南進整備を促進します。
道路網の整備では、国道163号精華拡幅をはじめ、府道生駒精華線のバイパス道路として学研精華・西木津地区と高山地区とを結ぶ学研連絡道路の事業化を促進するとともに、国の補助金を活用して通学路の交通安全対策に取り組みます。
公共交通網の整備では、リニア中央新幹線のルート決定に注目しながら、私の公約である京阪奈新線の延伸実現に向け、京都府などの関係機関と幅広く連携し、JR片町線などの輸送力増強も含めた学研都市へのアクセス改善の運動を展開します。
また、これまでのくるりんバスの実証運行の総括を踏まえ、一部、デマンド交通への転換の検討を進め、地域コミュニティー交通の利便性向上を図ります。
学研都市建設の推進にあたっては、引き続き三市町行政連絡会の枠組みを中心に、学研都市の広域的連携の先導的役割を果たしてまいります。
地域創生の取り組みでは、大阪・関西万博の開催や文化庁の京都移転を契機として、学研都市精華町の都市ブランド発信に向けたイベント開催などに取り組むほか、「科学のまちの子どもたち」プロジェクトの推進、新たな特産品の開発支援やふるさと納税ポータルサイトを活用した特産品のPR、ふるさとの魅力発信や観光振興に取り組みます。
令和5年度からは政府が進める「デジタル田園都市国家構想」が本格的にスタートします。
本町は、町民の皆さんのマイナンバーカード申請率の高さにより、最も有利な交付金獲得に府内で唯一挑戦をしています。
たいへん厳しい採択率とのことですが、AIを活用した京町セイカとの対話により、各種行政手続きが24時間可能となるオンライン総合窓口サービスなど、学研都市精華町に住んで良かったと実感していただけるサービスの開発と提供を目指して申請を行っているところであります。
採択結果の内示については3月中旬とのことであり、わかり次第、議会にご報告いたします。
また、4年ぶりの開催となるツアー・オブ・ジャパン京都ステージについては、京都府や京田辺市と連携して安全なレース開催に努め、交流人口の拡大につなげてまいります。
農業の振興では、良質米の生産・出荷を奨励する助成金を創設するほか、きめ細やかな支援を進めるとともに、中学校給食の開始を機に、地場産野菜の活用に向けた生産拡大を促進します。
商工業の振興では、独自技術や新製品のPR活動の支援などを通じて町内事業者の成長支援に取り組みます。
老朽化している町営住宅については、改修や建て替えに向けた地質調査を実施します。
環境分野では、地球温暖化対策実行計画の策定をはじめ、燃やすごみの組成分析調査に取り組むほか、ごみ収集車の更新を図ります。
(2)安全・安心で健やかな暮らしのまちづくり方針
第二の方針は、「安全・安心で健やかな暮らしのまちづくり方針」であります。
本町においても、急速な少子高齢化が進行しており、子どもを産み育てやすい環境づくりや、生涯元気で輝き続けることのできるまちづくりは町民皆さんの願いであります。
保育所待機児童ゼロなど子ども子育て支援の基本政策の堅持をはじめ、これまで中学校卒業までとしていた子どもの医療費助成を高校卒業まで拡大するなど、子育て環境と子育て支援の充実を図ります。
健康・医療の分野では、私の公約である健康づくり拠点「防災保健センター」の整備に向け、令和6年度の事業化を目指して着実に準備を進めます。
また、妊産婦の健診や子育て支援の充実に加え、住民協働による健康増進運動である「せいか365活動」を推進し、現役世代の負担を抑えつつ健康長寿のまちづくりに取り組むとともに、精華病院については長寿命化対策を進めます。
一方、新型コロナワクチンの臨時接種については令和4年度末をもっていったん終了する見込みですが、国の動きに即応できるよう必要な体制を保持します。
福祉の分野では、各種計画の改定に取り組むほか、国の補助金を活用した福祉の総合的な相談窓口の整備や地域包括ケアシステムの構築、引きこもりに関する相談や居場所づくり、相楽療育教室における児童発達支援センター機能の追加などに取り組みます。
防災・減災対策では、高齢者等指定地区避難所整備モデル事業に引き続き取り組むとともに、個別避難計画の策定に向けた実地調査などを通じて、町民の防災意識の高揚を図ります。
「雨に強いまちづくり」では、引き続き雨水路や排水路の整備を進めるほか、河川や農業用ため池の浚渫(しゅんせつ)に取り組みます。
消防・救急体制の充実では、京都府南部地域の9消防本部が連携し、指令センターの共同運用に向けた実施設計に取り組むほか、救急車や消防団車両の更新を図ります。
(3)未来をひらく教育と文化のまちづくり方針
第三の方針は、「未来をひらく教育と文化のまちづくり方針」であります。
まずは私の選挙公約の「一丁目一番地」である中学校給食の実施であります。
令和5年度2学期から中学生の皆さんに安全・安心でおいしい給食を提供できるよう、全力を尽くしてまいります。
一方、急激な物価高騰に伴い、値上げが迫られている小学校給食については、給食費を据え置き、保護者負担の軽減を図ります。
また、小中学校トイレの洋式化をはじめ、支援体制を強化するなどICTを活用した教育の充実に努めるほか、中学校部活動の地域移行の取り組みを進めます。
総合教育会議を通じて、教育委員会と私が連携し、悩みや課題を抱える児童・生徒一人ひとりに寄り添った教育の実現を目指し、いじめ防止対策や特別支援教育の推進を図るなど、「こどもを守る町」にふさわしい教育のまちづくりを進めます。
一方、生涯にわたる主体的な学習活動を支援するため、利用者の満足度の高い図書館サービスの提供とともに、町内の文化・スポーツ振興の拠点施設であるむくのきセンターの施設や設備の改修に取り組み、安全で快適な施設の利用環境整備に努めます。
また、文化財の保存と活用に向けた地域計画策定に取り組むとともに、デジタルミュージアムの運営などにより郷土の歴史の伝承と普及に努めます。
人権の分野では、精華町人権啓発推進委員会や山城地域の市町村と連携し、一人ひとりの尊厳と人権が尊重され、多様性を認め合うことができる社会の実現に向けて、人権教育・啓発推進計画に基づいた施策を展開します。
男女共同参画の分野では、男女共同参画計画の改定に取り組むほか、全ての人が個人として尊重され、個性や能力を十分に発揮できる社会の実現を目指します。
多文化共生社会や平和な社会の実現に向け、増加しつつある外国人住民の生活支援や平和の尊さを実感できる機会づくりに努めます。
(4)住民協働と行財政運営の強靭化のまちづくり方針
第四の方針は、「住民協働と行財政運営の強靭化のまちづくり方針」であります。
令和5年度からスタートする第6次総合計画の進捗管理では、住民参画の仕組みづくりや住民満足度に関するモニタリング調査などに取り組みます。
入札不正事件の再発防止策として、今年1月から本格運用を開始した内部統制体制をはじめ入札監視委員会などの機能発揮により、透明で公正な入札制度の運用を目指すとともに、全ての職員にコンプライアンス遵守の徹底を図ります。
また、風通しの良い職場づくりとして、職員提案に基づいて導入することとしたメンター制度などを通じて、若手職員の人材育成に努めます。
役場庁舎については、照明のLED化や、いよいよ4階の活用に向けた設計に取り組みます。
地域コミュニティーの活性化では、活動の拠点となる地区集会所の改修などに取り組むほか、「せいかまちづくり塾」の運営や地域課題解決に取り組む活動に対する支援などを通じて、地域公共人材の育成や住民主体の公共的活動を促進します。
相楽地域における広域行政サービスの実施にあたっては、引き続き相楽郡広域事務組合の枠組みで連携し、代表理事選出自治体としての役割を果たしてまいります。
4.むすびに
以上、私の施政方針について、説明させていただきましたが、令和5年度の予算編成では、一般会計の当初予算規模は、152億6,000万円となり、後ほど予算提案で詳しく説明申し上げますとおり、昨年度と比較して、6億8,000万円、4.7パーセントの増加となっています。
6つの特別会計の合計では、当初予算規模は、124億7,734万1千円となり、昨年度と比較しまして、10億951万7千円、7.5パーセントの減少となっています。
以上、7会計合わせて、277億3,734万1千円となっています。
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更新日:2023年03月01日