ゲートを経て、閲覧室へ。ここは地階ですが、コナラやアラカシが茂る中庭や地上からの採光で明るい雰囲気です。広い室内を見渡しましょう。左手奥はアジア各国の新聞や書籍がそろう「アジア情報室」。中央から右手が私たちに身近な資料がそろう「総合閲覧室」です。

　総合閲覧室の図書は、手前の書棚が左から「ビジネス」「辞典、図録」「医療・健康」。奥の書棚が左から「人文（文学、芸術、哲学、歴史など）」「官報」「社会科学（法律、政治、教育など）」「科学（科学・工学・産業技術）」「雑誌（約５００種）」と並びます。総合案内カウンターには司書さんが常駐して相談に応えるほか、本の配置図や資料探しに役立つさまざまなパンフレットが用意されています。

　試しに「医療・健康」の書棚を覗いてみましょう。専門書だけでなく、介護や認知症、妊娠・出産、さまざまな病気に関する本、漢方やハーブ、メンタルヘルスや睡眠、食文化、住まい、トレーニング、そして、新型コロナウイルスに関する本など話題のテーマや暮らしにつながる本が並びます。

月替わりのミニ展示や多彩なテーマで集めた本を紹介する「ひとはこ」コーナー、人文や科学の親しみやすい入門書が並ぶ読み物コーナーなど、私たちを豊かな読書の世界に誘う仕掛けもいっぱいです。

閲覧室の図書は、所蔵のごく一部の12万点。社会の動きに応じて厳選し、開架で紹介しています。

全体の所蔵は膨大です。図書約２８０万点をはじめ、新聞や雑誌等を含め１７００万点。２年前には、本１冊を３センチと考えた場合に約５００万冊が収蔵できる書庫棟も完成しました。研究施設の多いけいはんな地域にあって、調査研究に役立つ資料が豊富なのが特長です。館ではたくさんの人が働き、資料の収集や保存とともに、「資料提供」「図書館協力」「電子図書館」などの業務にあたっています。

　開架にない本や資料が必要な場合は司書さんに尋ねたり、閲覧室の端末から書庫資料を申し込んだり、約２８０万点に及ぶデジタル化資料をパソコンで閲覧しましょう。館内では各種データベースも閲覧可能。すべての資料は自宅からオンライン検索できます。

　さらに館の資料を用いて研究する方のために個室の研究室も。落ち着いた空間で資料を読み込み、作業に没頭できます。個人への資料の貸し出しは行っていませんが、複写やプリントアウトのサービスもあります。館内は無料Wi-Fi完備で、パソコンの持ち込みも可能です。

　建物のデザインやインテリアに特長のある関西館は、机に向かうだけが、館内の過ごし方ではありません。

　中庭を望むチェアで、SFの世界に迷い込んだようなガラス壁のスタイリッシュな空間で、屋上庭園に面した開放感あふれるカフェテリアで。巨大な知の森には、思いのままに時間を過ごせる場所がたくさん。