Seika Town Kyoto
知っているようで知らない精華町
その魅力を再発見するWEBマガジン
09 | September 2022

京都府立大学精華キャンパスを訪ねてみましょう

 現在は、生命環境科学研究科・農学生命科学科の「果樹園芸学」「野菜花卉かき園芸学」「細胞工学」「資源植物学」 「遺伝子工学」の5研究室を備え、9人の教員と4年生や大学院生あわせて常時40人以上が研究にあたるほか、毎週、下鴨キャンパスから3年生が実習にやってきます。
 さらに、新入生は田植えを、2年生も夏期集中講座で農業の基礎を体験します。学生らに加えて、ベテランの技術補助職員たちもきめ細かい手入れを担い、研究を支えています。

西エリアの附属農場を案内していただきました

 ピラミッド型の三角屋根が印象的な本館(管理棟)の西側には、稲が実る約8反(8,000㎡)の水田が、北側には畑地が広がります。畑地ではナスやトウガラシなど夏野菜の収穫が終わり、ダイコンやカブ、ラディッシュ、ハクサイなど秋冬野菜の栽培が始まっています。

穫を待つサトイモの大きな葉が茂っていました

 サトイモは縄文時代から栽培されており、京のエビイモなども有名です。しかし、花が咲くことが珍しいため品種改良が進んでいません。西島隆明教授(野菜花卉園芸学)らは開花を促し、他の品種と交配させる試みを通してサトイモの未知の能力を引き出そうと しています。

もたくさん植えられています

 多様な秋菊やパンジー、ビオラ、冬の寄せ植えに人気のハボタンも。春に向けて華やかなストックやトルコキキョウの種まきも始まります。冬を越え、春にはペチュニアやシャクヤク、鉢植えのケイトウ、トレニアもほ場を彩ることでしょう。

の向こうは果樹園です

 ブドウ、ナシ、モモ、リンゴ、ミカン、カキ…。年間を通してバラエティに富んだ果物がたわわに実ります。バイクで軽快に場内を巡る板井章浩教授(資源植物学)に出会いました。

 見ると、1本の木のあちこちに違った品種の実が成っています。限られた敷地で効率よく栽培できるだけでなく、多様な品種を早く実らせて研究に役立てることもできます。 板井教授は「幻のブドウ」のブランド化も目指しています。江戸時代に京都で栽培されていた「聚楽」といい、1970年代に消滅したと思われていましたが、数年前に京都市内で発見されました。附属農場では接ぎ木から幼木を育て、古都の香りをまとう新しい特産品を産み出そうとしています。
都市化や気候変動によって消えゆく在来種の次代への継承も重要な役割です。附属農場では果樹のほか、チャやソバやアワ、その祖先種のエノコログサなどの遺伝資源も数多く守っています。これらは今は商業栽培されていなくても、将来の品種開発につながる可能性もあり、大変貴重です。

館に戻りましょう。館内には研究室が並んでいます

 このうちの一室では、森本拓也講師(果樹園芸学)と学生が、ナシの花粉を数えていました。附属農場が保有する遺伝資源を利活用して、品種によって多様な花粉を観察・データを収集することで、新品種の育種につなげる研究です。

 大学は、隣接する府農林水産技術センターの生物資源研究センターと連携していることも特徴です。 センターには基礎と応用の各研究部があり、府大教員が研究員を併任する「基礎」では農作物の有用遺伝子やバイオテクノロジーを、「応用」ではおいしく栽培しやすい新品種や病害虫を防ぎ生産性を高める微生物の研究を進めています。「京都万願寺2号」「紫ずきん3号」など、所長室にはセンター発の「京のブランド産品」の品種登録証が掲げられていました。

「今、京都独自の酒米『祝』の新品種を開発、栽培中です。」

と所長。酒造会社と協力し、数年後には新しい美酒が市場に登場するそうです。

キャンパスの東エリアは「産学公連携研究拠点施設」

 民間企業も入居して、大学の研究成果を社会に活用する試みが続きます。たとえば、「ダチョウ抗体マスク」をご存知ですか? ウイルスなどの病原体を不活性化させるダチョウ抗体を使ったマスクで、花粉症やインフルエンザ対策への有効性がメディアでも話題になりました。拠点施設には、府立大発のベンチャー企業・オーストリッチファーマ株式会社もラボを構えています。

緑のフィールドで深呼吸!

産学公連携研究拠点施設のあるエリアは、かつて「花空間けいはんな」(旧京都フラワーセンター)として親しまれた施設です。メタセコイアの大木がランドマークの芝生広場にはベンチが置かれ、展望台にはあずまやもあり、散策にぴったりです。棚田をイメージした水生花園では、春はアヤメやカキツバタ、夏にはスイレンやハナハスも見事な花を咲かせます。簡単なアスレチック遊具もあります。

schedule 午前9時から午後4時半
confirmation_number 入園 ・ 駐車料 無料
flag 開園:水曜から日曜

販売・農場ユーカルチャーデー

販売・農場ユーカルチャーデー収穫された農産物は毎週火曜と金曜に附属農場の玄関口で販売されます。 現在は午前10時に現地で、入手の順番を決める抽選をしています。特に、ナシやブドウのシーズンは混雑し、入手できない場合もあります。日程変更もあるためホームページや農場に確認を。また、大学を紹介する「農場ユーカルチャーデー」 (夏はこどもの農業体験、秋は成人対象の講演会など)も好評です。いずれも問い合わせは、下記へどうぞ。

call 0774(93)3251  農業事務室
HOME