Seika Town Kyoto
知っているようで知らない精華町
その魅力を再発見するWEBマガジン
写真/専光寺
02 | February 2025

「東畑」ってどんなとこ?

精華町の「東畑」地区ってご存じですか。
半世紀前、「東畑を知ってる?行ったことがある?」と町の他地域の人に尋ねると、「行ったことが無い。山奥でしょ?」と答えらえました。その後学研都市として開発され、光台や精華台の街並みができ、随分変わりました。それでも「東畑」には地形や歴史に裏付けられた他の精華町の集落とは異なることがたくさんあります。それらをご紹介します。

東畑には山地がある!

 精華町の地形は、東部に木津川が流れその左岸に平野が広がり、西へ行くにつれて次第に丘陵が連なっているのが特徴です。西端に位置する東畑には、精華町で唯一、丘陵ではない山地と呼ばれる場所が存在します。そこは西端の一部分ですが、花崗岩質の山肌がみえ、切り立った崖があります。それが精華町一の高さ(259.5m)の「嶽山」のあるところです。そして急峻な地形に東畑神社と専光寺が建てられています。専光寺の石垣をみると、「地震でも崩れないのだろうか」と思うくらいに切り立っていますが、寺の裏側も岩肌がゴロゴロ見えるきつい斜面になっていて、それを取り入れた庭が作られています。神社もよく似た地形のところに立地しています。

専光寺のお庭
専光寺の石垣
東畑神社
東畑神社

東畑の集落はいつできたのだろう?

 精華町では、東畑以外の集落は遺跡や資料から、古くから存在していることがうかがわれます。縄文時代とか古墳時代とか。しかし、東畑にはいつできたかを証明する、しかとした資料がありません。お寺ができた頃、すなわち鎌倉時代前後だろうと考えられています。そしてその頃に、今の精華町の他の地域の人が新しく村をつくったのだろう、と。 ところで、東畑のすぐ近くに京田辺市打田うったという小さい集落があります。東畑に負けず劣らずの山奥の地ですが、この地域は朱智神社と結びついていて、東畑よりずっと古い歴史があります。また、古くから東畑地区とは郡境になっています。目と鼻の先にある打田の人ではなくて、もっと遠距離の地域の人がどうして東畑の地を開いたのか?は疑問です。

南谷集落の風景
北の下集落の風景
北の下棚田の風景

鳥谷池とりだにいけ蟹満池かにまいけはどうして?

東畑は、雨が降らないと川の水が流れない、というほど水不足な村でした。そこで、稲作に必要な水確保のために、(いつの時代かわかりませんが)村に可能な限りの大きなため池を二つ作りました。その池が鳥谷池とりだにいけ蟹満池かにまいけです。鳥谷池は村の最上部にあり、嶽山の影を写すちょっとした名勝地にもなっています。この二つの池より東畑の多くの田に水を行きわたらせます。さらに、その水が行きわたらない場所には、大小のため池があちこちにあります。水不足を解消する先人の知恵が今に伝わります。

鳥谷池とりだにいけ
蟹満池かにまいけ

わずかに残る白土採取の跡

 江戸時代の終わり頃、東畑の「大坂」というところで、他では珍しい白土が発見されました。奉行所に願い出て、それを白土として採取することに許しを得ました。それから約100年の間、白土採取は小規模ですが、東畑の産業の一つでした。白土は磨き粉に使われる他、上質のものはカルタや花札の製造に用いられました。採取の方法は工具を用いて手作業でトンネル内を掘り進んでいくものでした。採取した塊を乾燥させ、手押し車で木津川の船着き場まで運んで行った様子が伝えられています。今も採取した後の洞穴やトンネルが、村の数か所でみることができます。

白土採掘の洞窟
白土採掘の洞窟

地元住民の目線でざっくりとですが、東畑地区をご紹介せて頂きました。 興味を持たれた方は、東畑地区へぜひお越しください。

精華町文化財愛護会について

昭和42年(1967年)、関心の深い有志の方たちの熱意により発足、町内文化財の保存と活用の推進を目的に活動し、主に文化財を深く知り親しむ啓蒙活動を行っています。恒例行事として、研修会(年1回)、講師による講演会(年2回)の実施、また、「NPO法人精華町ふるさと案内人の会」と連携して、身近な町内文化財の見学や学習を行っています。

連絡先:
精華町教育委員会教育部生涯学習課内 
TEL:0774-95-1907 FAX:0774-94-5176

精華町民ライター
プロフィール

前田 眞千代Machiyo Maeda

東畑で生まれ、育ち、ずっと今も住んでいます。退職後、町の歴史や文化財等に興味を持ち始めました。健康には歩くことが大事だと、3年前から孫の朝の登校に一緒に歩いています。
◯精華町文化財愛護会会長

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