「性的同意」って何？ vol.95（令和2年10月号）

「性的同意」とは、性的行為の前にお互いの同意の意思を確認することです。性的同意がない性的行為は、相手を傷つけ、性犯罪や性暴力になる可能性があります。相手が望んでいないことはしない、コミュニケーションをとる、日を改めるといったことが必要です。スウェーデン、イギリス、ドイツなどでは、同意のない性交はレイプ罪が成立します。

身近にある「無理やり性交」被害

内閣府の「男女間における暴力に関する調査（平成29年）」によると、女性の約13人に1人、男性の約67人に1人が「無理やり性交された被害経験がある」と答え、こうした被害が身近にあることがわかります。

加害者の約8割は「顔見知り」で、（元）配偶者、（元）交際相手、職場・アルバイト先・学校の関係者などでした。

こんな場合、「性的同意」はある？

1.相手がイヤと言わなければ、それはOKだと思っていい。

2.家に来たということは、性交をしてもいいという意味だ・

3.恋人・夫婦は性的行為をするのがあたり前で、性的同意など必要ない。

4.はじめに性交に同意したのだから、どんなことをしてもいい。

5.相手が酒に酔っていても、抵抗しなかったら同意したと思っていい。
 

これらは次のように、全て性的同意があるとはいえません。
 

1.→イヤと言って拒否していなくても、同意はしていません。「拒否や抵抗がないのはイエス」ではありません。

2.→家に行くことには同意していても、性交に同意しているかは相手に聞いてみないとわかりません。

3.→恋人・夫婦でも、相手には相手の都合や、その時の思いがあるはずです。

4.→最初に性的同意があっても、途中で気が変わったり、望まないことまで要求されて応じられなくなったりすることはあります。

5.→お酒に酔って正常な判断ができない状態では、性的同意はできません。

性暴力は「魂の殺人」

「性的なことは暗黙の了解。野暮なことを言うな。」という声があるかもしれませんが、性暴力の被害者は、妊娠や長期にわたる精神的ダメージなどで人生が大きく変わり、死を選ぶことさえあるのです。性暴力の加害者にも被害者にもならないために、「性的同意」についてぜひ考えてみてください。