令和6年度施政方針

令和6年度施政方針演説~令和5年度精華町議会定例会3月会議町長挨拶要旨~

1.はじめに

 精華町議会議員の皆さん、おはようございます。

 本日は、令和5年度精華町議会定例会3月会議にご参集いただき、誠にありがとうございます。

 平素は精華町発展のために、町行政全般にわたりまして、格別のご尽力とご協力、並びにご意見、ご指導を賜っておりますことに、心からお礼を申し上げます。

 令和5年度も、議会運営では一年を通じて柔軟なご対応をいただき、誠にありがとうございました。

 改めて、御礼申し上げます。

 まず初めに、元旦に発生した「令和6年能登半島地震」では、240名を超える方々がお亡くなりになり、住宅被害は7万7千棟を超え、地震から2か月が経とうとしている今もなお、1万人を超える方々が避難生活を余儀なくされているとのことであり、改めて、お亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。

 被災者の皆様の生活が再建され、一日も早く住み慣れた地域に戻ることができるよう、強く願うものであります。

 さて、本日は、令和6年度の当初予算案をはじめ、新年度の町行政全般に関わります諸議案を提出させていただく、重要な会議でございます。

 そこで、三原議長のお許しを得まして、議案提出に先立ち、町政運営にあたります私の所信の一端を、申し上げる次第でございます。

 私は、昨年10月24日に二期目の杉浦町政をスタートさせた後、すべては「精華町の未来のために」をモットーに、16項目の公約実現のため、国や京都府への要望活動を再開するとともに、役場総がかりで財源捻出に努めてまいりました。

 いま本町は、自立のまちを目指し、学研都市精華町のまちづくりを新たなステージへと前進させなければなりません。

 私は、総合計画が掲げる将来像「人がつながり夢を叶える学研都市精華町」の実現のため、全身全霊でまい進してまいります。

2.基本認識

 それでは、まず町政を取り巻く内外の情勢に対する、私の基本認識を3点申し述べます。

(1)国際情勢について

 一つ目は国際情勢について、であります。

 ロシアによるウクライナ侵攻開始から丸二年が過ぎました。

 昨年は、イスラエルとハマスの戦闘も始まり、中東地域の緊張が一気に高まってきています。

 いずれの戦闘でも見られた非戦闘員に対する残虐行為は明らかに人道に対する罪であり、決して許されるものではありません。

 一方、東アジアでは、北朝鮮によるミサイル発射は止まることはなく、合わせて台湾海峡の緊張も高まっており、米国がウクライナや中東地域の紛争に巻き込まれれば巻き込まれるほど、我が国は東アジアにおいてさらなる自衛を求められるという傾向が強まっています。

 11月に予定されている米国大統領選挙の結果次第では、より一層その傾向が強まる可能性があります。

 精華町をはじめ基地所在自治体は、我が国を取り巻く安全保障環境に左右されるという厳しい現実から目を背けるわけにはいかないのであります。

 平和あっての地方自治であります。

 一刻も早い戦争終結と新たな平和構築を願わずにはいられません。

 世界経済に目を向けますと、欧米のインフレ抑制やエネルギー価格の上昇などにより、令和6年は3年連続の鈍化が予想されています。

 また、米中対立によるサプライチェーン再構築の動きは、我が国にも大きな影響を与えつつあります。

 こうした動向は、本町に多数立地する企業活動にも少なからず影響があるものと考えられます。

(2)国内情勢について

 次に、二つ目は国内情勢について、でございます。

 冒頭でも申し上げましたが、新年早々、能登半島を襲った大地震については、その被害の甚大さを見るにつけ、心を痛めずにはいられません。

 今回、離れた宿泊施設などへの「二次避難」や学校再開の目途が立たない中学生の「集団避難」などが注目を浴びましたが、地域全体が受けた被害の大きさによっては、広域的な支えが極めて重要であることを目の当たりにしました。

 特に、被災者の健康を第一に迅速に準備が整えられた「二次避難」が思うように進まなかった点は、今回の震災の最も特徴的な課題を浮き彫りにしているように感じます。

 それぞれの地域が高齢化し過疎化している背景のもと、地域のつながりを失いたくないという思い、そして何より、一度故郷を離れてしまえば二度と戻ることができないかもしれないという不安、そうした被災者の皆様の切ない思いが伝わってきます。

 今回の震災の復興にあたり、人口減少に喘ぐ地方をどのように力づけ、振興を図るか、それは日本の将来ビジョンに関わる試金石になるものと考えます。

 本町からも、本日時点で、既に延べ39人の職員を派遣し、救助や支援活動を行っています。

 一日も早く、被災者の皆様の生活が再建できるよう、引き続き可能な限り支援を継続してまいりたい考えです。

また、今回のように小さな自治体が大きな震災に見舞われた場合、大多数の職員が被災し、行政機能も麻痺してしまうことから、今後は、受援施設の整備とともに、支援を受ける側となった場合の訓練も経験しておく必要があると考えます。

 一方、この間、政治資金パーティーをめぐり「政治と金」の問題が再び批判されています。

 政治への信頼が損なわれては、国政の重要な意思決定ができなくなる恐れが生じます。

 私は政治信条として「人にして信なくば、その可なるを知らず」、このことを肝に銘じております。

 お金や情報操作によってではなく、最後は信義によってこそ人の心が動き、歴史が動く、国政においてもそうであってほしいと願います。

(3)学研都市精華町のまちづくりについて

 三つ目は、新たなステージに入った学研都市精華町のまちづくりについて、であります。

 ご存じのとおり、精華町における学研都市建設は、学研狛田地区の開発が始まり、面整備において、いよいよ最終局面に入ろうとしています。

 将来にわたり、学研都市の中心都市にふさわしい充実した住民福祉と高度な都市運営を支えていけるよう、自立のまちづくりは正念場を迎えていると言えます。

 しかしながら、この期に及んで、既に概成している学研精華・西木津地区における新たなデータセンターの立地をめぐり、これまで経験したことのない深刻な環境問題が発生し、現在、町としましても、関係機関と共にその対応に当たっているところであります。

 これまで学研地区の施設用地に対しては、緑豊かな調和のとれたまちづくりを通じて、日本を代表するサイエンスシティにふさわしい都市景観を形成できるよう規制と誘導に努めてきたところであります。

 データセンターは多くの雇用こそ生み出しはしませんが、今後の国産生成AIなどの成長を支える重要な産業基盤であり、多額の設備投資も期待できることから、本町への適度な集積を許容すべき施設として位置付けていく必要があります。

 そうしたことから、今回の問題解決を通じて、適切な規制と誘導のあり方を確立していきたいと考えております。

 一方、陸上自衛隊祝園分屯地の火薬庫増設については、議会全員協議会で報告の機会を設けていただいておりますが、基地の安全性をこれまで以上に高めていただくとともに、無限の可能性を秘めた学研都市精華町の発展にとっての阻害要因とならないよう、防衛省に対しては一層のまちづくりへの協力が得られるよう働きかけを行っていきたい考えであります。

3.基本方針

 こうした基本認識をふまえつつ、私の町政二期目の公約実現に向け、「精華町の未来のために」必要な施策に重点を置き、総合計画の体系に基づいた次の四つの基本方針のもと、町政を進めてまいります。

 なお、令和6年度の予算編成の前提となる財政状況などにつきましては、後ほど、一般会計当初予算案の提案理由の説明において、副町長からその概要を説明させていただきます。

(1)活力あふれ魅力ある学研都市のまちづくり方針

 第一の方針は、「活力あふれ魅力ある学研都市のまちづくり方針」であります。

 学研都市建設概成後を見据えたまちの将来像の実現に向け、計画的に産業集積と人口定着を誘導し、財政力を高めつつ、調和のとれた持続可能都市へと成長させていかなければなりません。

 自立のまちづくりの礎となる「産業集積の拠点」として総合計画に位置付けた学研狛田東地区への企業誘致と学研狛田西地区の事業化促進に努めるほか、玄関口となる下狛駅周辺整備を着実に推進します。

 学研都市への交通アクセスでは、この間、道路網については国土軸への直結や国道163号精華拡幅など、着実な整備が進められてきました。

 しかしながら、学研都市京都府域では鉄道整備の進展が見られない状況が続いているため、この度、本町が音頭を取り、京都府と学研三市町が中心となって、広域的な「地域公共交通計画」を策定し、京阪奈新線新祝園ルート延伸やJR片町線複線化など学研都市への鉄道アクセスとクラスター間等を接続する公共交通の整備方策を明らかにし、学研都市の第5ステージ・プランにつなげていきたいと考えております。

 一方、大阪・関西万博の開催を来年に控える中、学研都市が「ポスト万博シティ」に想定され、万博で披露される革新技術や未来志向の考え方などをいち早く社会実装につなげる方針が示されました。

 こうしたことから、来年、同時開催される「けいはんな万博2025」については、学研都市精華町をPRする絶好の機会ととらえて積極的に参画するとともに、本町における観光振興や農業6次産業化の推進にもつなげてまいります。

 また、これらの取り組みに加えて学研都市のメリットを生かし、次代を担う子どもたちに科学やものづくりに触れ親しむ機会を提供する科学のまちの子どもたちプロジェクトを推進します。

 一方で、住民生活や企業活動にとって必要不可欠な水道水の安定給水の継続を実現するため、経営の健全化を図れるよう、経費の削減努力に努めながら水道料金の適正化を図ります。

(2)安全・安心で健やかな暮らしのまちづくり方針

 第二の方針は、「安全・安心で健やかな暮らしのまちづくり方針」であります。

 本町では、今後も住宅開発などにより一定の人口増加が見込まれるものの、急速な少子高齢化の進行は避けて通ることのできない課題であります。

 私は「子どもを守るまちづくり」を最優先として、一人ひとりに寄り添う母子保健や子どもの医療費無償化をはじめとする、妊娠・出産から子育て期まで安心して子どもを産み育てることのできる環境づくりを進めます。

 また、高齢者の健康増進や介護予防を推し進め、誰もが生き生きと生涯現役の人生を送れるよう高齢者の社会参画の一層の促進を図ってまいります。

 今年は、健康づくり拠点施設「防災保健センター」の建設に、いよいよ着手します。

 竣工した暁には、ここを拠点として赤ちゃんから高齢者まで各種の保健事業に取り組むとともに、「せいか365活動」をさらに推進し、多世代交流による健康づくり運動に取り組んでまいります。

 さらに、複雑・多用化する福祉ニーズに対応するため、「重層的支援体制」の整備を進め、誰一人取り残さず安心して暮らすことのできるまちづくりを進めます。

 一方、「令和6年能登半島地震」の教訓などを生かし、地震や風水害への備えを一層図らなくてはなりません。

 今後発生が予想される大規模地震をはじめ、近年の台風の大型化による河川氾濫や局地的集中豪雨による浸水害などを想定し、ハード・ソフト両面での対策を進めるとともに、災害時に円滑な避難が可能となるよう各種計画策定や避難訓練などを通じて住民意識の高揚を図ります。

 また、消防・救急体制の充実を図るため、京都府南部地域の消防本部と連携し、消防指令センターの共同運用に向けた整備に必要な負担金の予算化を図ります。

(3)未来をひらく教育と文化のまちづくり方針

 第三の方針は、「未来をひらく教育と文化のまちづくり方針」であります。

 これまでにも、学校施設の耐震化や普通教室へのエアコン整備、トイレの洋式化など、子どもたちが安全で快適に学ぶことのできる教育環境づくりに率先して取り組んでまいりました。

 こうしたなかで、新年度の予算編成には大変苦慮したところでありますが、私の二期目公約の「一丁目一番地」とも言うべき町立小中学校給食の完全無償化の実現に向け、財源捻出に取り組んだ結果、何とか年度当初からの実施に目途をつけることができました。

 さらに、教育環境整備として、さらには指定避難所整備として、小中学校体育館へのエアコン整備に取り組むための基礎調査と基本計画の策定にも着手します。

 これらハード整備に加えて、これまで本町が積み上げてきた教育支援体制の堅持あるいは一部拡充により、児童・生徒一人ひとりに寄り添った「子どもを守るまち」にふさわしい教育のまちづくりを進めます。

 一方、生涯学習の分野では、中学校部活動の休日の地域移行に向けた実証事業に引き続き取り組み、地域における子どもたちの多様な文化・スポーツ活動の機会確保につなげてまいります。

 また、打越台環境センター跡地と打越台グラウンドを一体的に活用し、災害時の受援施設と平常時のスポーツ施設の機能を有する「防災受援施設」の事業化に向けた設計業務に取り組みます。

 さらに、女性活躍に向けたデジタル人材育成や男女共同参画計画の策定に取り組むほか、人権教育・啓発推進計画に基づいた諸施策の展開、多文化共生社会づくりや平和の尊さを実感できる機会づくりに取り組みます。

(4)住民協働と行財政運営の強靭化のまちづくり方針

 第四の方針は、「住民協働と行財政運営の強靭化のまちづくり方針」であります。

 総合計画の進行管理として、住民満足度を町政推進の重要なバロメーターと位置付け、SNSを活用したモニタリング調査を実施するとともに、「せいかまちづくりフォーラム」開催などを通じて町民へのアウトリーチ活動を展開するなど、新たな価値創造による住民満足度の向上につなげてまいります。

 また、人材育成や職員配置、人事評価などの一体的運用を図るための人材育成計画の策定に取り組み、今年度から導入したメンター制度の運用と併せた中堅・若手職員の人材育成や円滑な世代交代、風通しの良い職場づくりに努めます。

 さらに、公平公正で町民からの評価の高い役場づくりを目指して、昨年1月から本格実施した内部統制体制をはじめ、入札監視委員会などの機能発揮により、透明で公正な入札制度の運用を目指すとともに、全ての職員にコンプライアンスの徹底を図ります。

 一方、長年の課題でありました役場庁舎4階の利活用に向けた整備工事に着手します。

 工事期間中は何かとご不便をおかけしますが、質の高い窓口サービスを維持しながら、執務室や会議室、災害対策本部としてのスペースの確保に加え、多様な住民活動にも利用できるスペースを確保することにより、公共的活動の促進にもつなげてまいります。

 また、し尿処理をはじめ休日応急診療所や消費生活センター運営など共同処理事務の実施にあたっては、引き続き相楽広域行政組合の枠組みで連携し、代表理事選出自治体としての役割を果たすとともに、老朽化する相楽会館の建て替えに向けた設計業務の実施に必要な分担金の予算化を図ります。

 災害からの早期復旧や公共事業実施の円滑化などに役立つ地籍調査事業の令和7年度からの実施を目指し、先進事例調査など必要な準備を進めます。

4.むすびに

 以上、私の施政方針について、説明させていただきましたが、令和6年度の予算編成では、一般会計の当初予算規模は、162億6,600万円となり、後ほど予算提案で詳しく説明申し上げますとおり、昨年度と比較して、10億600万円、6.6パーセントの増加となっています。

 6つの特別会計の合計では、当初予算規模は、127億5,732万5千円となり、昨年度と比較しまして、2億7,998万4千円、2.2パーセントの増加となっています。

 以上、7会計合わせて、290億2,332万5千円となっています。

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更新日:2024年03月01日