令和7年度施政方針
令和7年度施政方針演説~令和6年度精華町議会定例会3月会議町長挨拶要旨~
1.はじめに
精華町議会議員の皆さん、おはようございます。
本日は、令和6年度精華町議会定例会3月会議にご出席を賜り、誠にありがとうございます。
本定例会3月会議につきましては、補正予算の審議のため、再開を前倒ししていただき、去る2月19日には本会議を、21日には予算決算常任委員会を開催していただくなど、三原議長様をはじめ、議員の皆様には、最大限のご配慮をいただき、改めて、御礼申し上げます。
さて、本日は、令和7年度の当初予算案をはじめ、新年度の町行政全般に関わります諸議案を提出させていただく、重要な会議でございます。
そこで、三原議長様のお許しを得まして、議案提出に先立ち、町政運営にあたります私の所信の一端を、申し上げる次第でございます。
長いコロナ禍を経て、ようやく日常を取り戻しましたが、エネルギーや食料品など物価の高騰が国民生活を直撃するなど、わが国の経済はまだまだ予断を許しません。
こうした中で、一昨年10月に二期目の町政をスタートさせてから、早や二度目の予算を編成し、本日提案する運びとなりました。
すべては「精華町の未来のために」。
私は、この信念を町政運営の中心に据え、16項目の公約実現のため、国や京都府への要望活動を展開するとともに、総力を挙げて財源捻出に努めてまいりました。
いま本町は、自立のまちを目指し、学研都市精華町のまちづくりをさらに新たなステージへと前進させなければなりません。
私は、総合計画が掲げる将来像「人がつながり夢を叶える学研都市精華町」の実現のため、全身全霊でまい進してまいります。
2.基本認識
それでは、まず町政を取り巻く内外の情勢に対する、私の基本認識を3点申し述べます。
(1)国際情勢について
一つ目は、国際情勢について、であります。
米国では、トランプ氏が2度目の大統領に就任して以降、矢継ぎ早の方針転換などにより、政治や経済、安全保障など、様々な面で変化が現れつつあります。
とりわけ、対中関係はトランプ外交の主軸であり、時に米中対立は「新冷戦」の様相で語られることがあります。
対する中国においては、この間の景気減速と、日本企業をはじめ各国企業の中国離れが進むなか、国民の不満が高まっているとの報道もあり、今後の独裁体制の動向にも注意が必要です。
ヨーロッパや中東地域では、長引くロシアによるウクライナ侵攻やガザ地区の紛争の早期終結に期待が寄せられる一方で、多くの国々で政権交代が起こり、不安定さが一段と増している状況にあります。
隣国の韓国においても、昨年来、政治的混乱が伝えられ、日韓の持続的で安定的な関係構築の難しさが浮き彫りになっています。
こうした中で、注目すべき点は、国連の専門機関として国際的な保健活動を行う「WHO」や気候変動対策の国際枠組みである「パリ協定」からの米国の離脱に加えて、これに追随する動きが出てきていることであります。
今後は、様々な分野における国際機関や国際協調の枠組みの意義が改めて問われるものと考えており、その動向に注目する必要があります。
また、安全保障面では、同盟国に対しても応分の負担を求める意向が伝えられており、基地を抱える本町としても、今後の動向に目が離せません。
さらに、トランプ氏が重要視するAIをめぐる熾烈な開発競争では、データセンターや先端技術開発拠点などの施設立地といった形で、本町も既に大きな影響を受けつつあります。
(2)国内情勢について
次に、二つ目は、国内情勢について、であります。
まず、国内政治については、昨年の衆議院議員選挙の結果により、戦後4度目の「少数与党政権」での運営が生じています。
政府予算案の審議いかんによっては、我々地方公共団体の予算にも影響があるのではと懸念しています。
こうした中で、私が注目しているのが、昨年の総選挙や地方の首長選挙において、マスコミとSNSとが対立の構図で語られる場面が増えたことであります。
「報道しない自由」「捏造」への批判や、「デマ」拡散への批判などが繰り返され、私自身、いったい何が真実なのか、迷う場面が少なくありませんでした。
今年は本町で町議会議員選挙が行われます。
定数を超える立候補者が立ち、正々堂々、政策を競う選挙が行われることを願っています。
経済面では、賃上げの継続による個人消費の伸びと企業の旺盛な設備投資意欲により、持続的な成長が期待されています。
本町でも、特に立地企業からの税収の伸びに支えられ、令和5年度決算では過去最高の町税収入を記録しました。
一方、防災面では、特に各地で活発な地震活動が続いており、今年の1月には政府の地震調査委員会において、南海トラフ巨大地震の30年以内の発生確率が「80%程度」にまで引き上げられたという状況にあります。
広範囲での被害が予想される巨大地震への備えを最優先に取り組みを進める必要があります。
(3)学研都市精華町のまちづくりについて
三つ目は、学研都市精華町のまちづくりについて、であります。
学研都市建設が始まって以降、今年で丸40年を迎えるとのことであります。
これまでの学研都市建設の結果、何が充足し、何が足りていないのかを明らかにし、次の10年のアクションプランづくりに本町も積極的に関わっていく必要があります。
とりわけ、京阪奈新線新祝園ルートをはじめとする公共交通整備は学研都市にとって最大の残課題であると、関係機関に訴えかけていく必要があります。
本町における未整備クラスターであった学研狛田地区のうち、既に狛田東地区は造成が完了し、企業誘致も本格化しています。
学研都市にふさわしい機能を持った施設の誘致、そして本町のまちづくりの一員となっていただける企業の誘致に努めていきたい考えであります。
新年度、政府は「地方創生2.0」を掲げ、各地方公共団体は、これまでの少子高齢化への対策から脱却し、少子高齢化を前提とした地域社会づくりに向けて取り組む必要があります。
しかしながら、本町は既に子育て支援分野では相当程度充実を図ってきており、子育てしやすいまちとしての評価も定着しつつあります。
そうした中で、新たに子育て世帯の転入を促進するために見直すべきは、これまでの住宅開発の抑制基調から、成長管理に努めつつ、一部規制緩和を図ることで促進基調へと転換することであると考えます。
来年度、コンパクトシティ計画を仕上げていく中で、そうした方向性もしっかりと位置づけ、町政全体に根付かせていく必要があります。
一方、本町行政組織の世代交代への備えは待ったなしであります。
中堅若手職員の学びと政策提案を積極的に取り入れていきたい考えであります。
また、これまでから少ない人員体制のなかでも各関係機関への研修派遣を積極的に行ってきていますが、今後は中央省庁も含めた研修派遣制度の拡充を通じ、人材育成と人的ネットワークの構築に努めていきたい考えであります。
学研都市の中心に位置する精華町は、無限の可能性を秘めています。
町制施行70周年を迎える今年、第6次総合計画で掲げた30年先の未来を見据え、公共的活動に取り組んでいただいている多くの町民の皆さん、大いなる貢献を申し出ていただいている立地企業の皆さんと共に、私は役場職員の先頭に立って、まちづくりの歩みを強力に進めていきたいと考えております。
3.基本方針
こうした基本認識をふまえつつ、私の町政二期目の公約実現に向け、「精華町の未来のために」必要な施策に重点を置き、総合計画の体系に基づいた次の四つの基本方針のもと、町政を進めてまいります。
なお、令和7年度の予算編成の前提となる財政状況などにつきましては、後ほど、一般会計当初予算案の提案理由の説明において、副町長からその概要を説明させていただきます。
(1)活力あふれ魅力ある学研都市のまちづくり方針
第一の方針は、「活力あふれ魅力ある学研都市のまちづくり方針」であります。
造成工事が完了した学研狛田東地区では新たな事業所の建設が始まり、狛田西地区についても事業化に向けた取り組みが進められるなど、自立のまちを目指した本町域の学研都市建設は最終局面を迎えつつあります。
「産業集積の拠点」として学研狛田地区の整備が着実に進む一方で、その受け皿となる下狛駅周辺整備が喫緊の課題となっていることから、まずは暫定利用も含めた駅前広場の整備を推進します。
この間、学研都市にとって最大の残課題である公共交通整備の道筋を示すべく、京都府と学研三市町が連携して「けいはんな学研都市(京都府域)地域公共交通計画」の策定に取り組んできました。
基礎調査で学んだ先進事例なども参考に京阪奈新線新祝園ルートの延伸実現に向けた取り組みを着実に進めてまいります。
一方、データセンターによる環境問題は、ようやく解決に向けて関係者間の話し合いが始まったところであり、まだ相当の時間を要するものと見込まれますが、環境や景観面も含め、地域に受け入れられる施設となるよう、引き続き調整を図ってまいります。
現在、本町域では複数の民間開発が進みつつありますが、先行して土地区画整理事業が進む菅井・植田地区については、堀池川雨水路整備事業に着手するなど事業支援に努めるほか、京都府による山手幹線の南進整備を促進します。
また、学研精華・西木津地区の一角として精華台地区と同等の良好な環境の住宅開発が計画されている蔭山・水落地区の早期事業化を促進します。
一方、農業分野では、多様な担い手の育成支援に努めているものの、農業衰退の全国的な流れを変えるまでには至っていません。
農業施策への大胆な投資に向けては、財源確保の取り組みも含めた議論を始める必要があると考えております。
こうした認識のもと、都市近郊農業のメリットを活かした地産地消の取り組みを促進しつつ、ブランド農産物の生産拡大や六次産業化の支援などを通じて農業者の経営安定を図ります。
また、災害からの早期復旧や公共事業実施の円滑化などに役立つ地籍調査事業に本格的に着手します。
なお、陸上自衛隊祝園分屯地の火薬庫増設については、防衛省に対して基地のより一層の安全性確保とまちづくりへの協力を、引き続き働きかけてまいります。
いよいよ4月に開幕する「大阪・関西万博2025」については、国内外にまちの魅力を発信する絶好の機会と捉え、京都府や府内市町村と連携してブース出展するとともに、同時開催される「けいはんな万博2025」においても、本町がこれまで進めてきた「科学のまちの子どもたち」プロジェクトの展開などにより学研都市精華町のPRにつなげてまいります。
(2)安全・安心で健やかな暮らしのまちづくり方針
第二の方針は、「安全・安心で健やかな暮らしのまちづくり方針」であります。
令和7年度には、私の二期目公約の大きな柱の一つであります「防災保健センター」の竣工を迎えます。
町民の皆さんの健康づくり拠点として各種保健事業や「せいか365活動」のさらなる推進を図るとともに、すべての妊産婦や子育て世帯などに対して一体的な相談支援を行う「こども家庭センター」の設置に向けた準備を進めます。
また、これまで本町が積み重ねてきた一人ひとりに寄り添う母子保健や子どもの医療費無償化などの基本政策に加え、新たに実施する5歳児健康診査や町内における病児・病後児保育の実施など、「子どもを守るまちづくり」のさらなる推進につなげてまいります。
「防災保健センター」の運用にあたっては、重層的支援体制との有機的な連携を図り、複雑・多様化する福祉ニーズに対応した「福祉の総合窓口」のあり方の検討を進め、誰一人取り残さず安心して暮らすことのできるまちづくりを進めます。
今年1月には、多くの犠牲者を出した阪神・淡路大震災から30年を迎えました。
全国各地で大規模な自然災害が頻発する中、本町においても様々な防災・減災対策を進めていますが、被害を軽減するためには、日頃からの物心両面での備えが重要であります。
能登半島地震などの教訓を生かした地域防災計画の見直しと合わせて、地域の実情に応じた避難訓練や避難所運営訓練を実施し、住民意識の高揚を図るとともに、トイレカーなどの導入により避難所での生活環境整備を進めます。
また、消防・救急体制の充実に向けては、京都府南部地域の消防本部と連携し、令和9年度からの運用開始を目指して引き続き消防指令センターの共同整備に取り組みます。
(3)未来をひらく教育と文化のまちづくり方針
第三の方針は、「未来をひらく教育と文化のまちづくり方針」であります。
「まちの宝」である子どもたちが、安全で快適に学ぶことのできる環境づくりに最優先で取り組みます。
とりわけ、多くの皆様からご評価をいただいた「町立小中学校給食の完全無償化」の継続はもちろん、この間の食材価格高騰に伴う保護者負担にも配慮しながら子どもたちに美味しい給食が提供できるよう努めてまいります。
令和8年度に完了予定の学校トイレの洋式化に引き続き、学校体育館の空調整備に着手できるよう設計業務に着手します。
また、GIGAスクール構想により整備したタブレット端末の一斉更新やデジタル教材の活用を図るなど、ICTを活用した教育環境の充実に取り組みます。
これらハード整備に加え、児童・生徒一人ひとりに寄り添った教育支援体制を拡充し、「子どもを守るまち」にふさわしい教育のまちづくりを進めるほか、水泳授業の外部委託の試行的実施などにより、教員の負担軽減につなげてまいります。
生涯学習の分野では、打越台グラウンドと打越台環境センター跡地を一体的に活用し、グラウンド利用者のレストハウス機能を備えた、文化・スポーツ団体の活動拠点としてのクラブハウスなどの機能と災害時の受援機能を併せ持つ「防災受援施設」の整備に着手します。
米国ノーマン市との姉妹都市提携から20年を迎えることから、互いの歴史や文化に触れたり交流の機会となるような記念事業を企画し、友好関係の醸成につなげてまいります。
共生社会の推進に向け、人権教育・啓発推進計画の策定や女性活躍に向けたデジタル人材育成に取り組みます。
(4)住民協働と行財政運営の強靭化のまちづくり方針
第四の方針は、「住民協働と行財政運営の強靭化のまちづくり方針」であります。
町制施行70周年を迎えるに当たり、これまでのまちづくりの軌跡に思いを馳せつつ、今を生きる私たちが10年先、30年先に何を遺すべきか考える機会にしたいと考えます。
先人たちが築き上げたレガシーが、精華町発展の礎となったように、私たちはそのレガシーに新たな価値を付加し、未来に誇れるものとして次世代に引き継いでいく使命を帯びています。
こうした中で、今年度から進めている庁舎4階整備と「防災保健センター」建設を機に、役場庁舎全体のリニューアルについて、四半世紀前の現庁舎建設の理念もふまえ、俯瞰して考える必要があります。
特に、窓口関連部署の再配置にあたっては、本町が誇る「総合窓口サービス」の理念を継承しつつ、DXを推進しながら学研都市精華町にふさわしい住民本位の新たな窓口サービスの実現を目指します。
これに加えて、生産性の向上や新たな価値創造、働きやすい職場環境づくりといった視点から庁舎機能の改善につなげることにより、イノベーションを起こせる組織風土を醸成していく必要があります。
これらの取り組みについては、中堅若手職員の積極的な参画を促し、彼ら彼女らの熱意や創意工夫を引き出すことで、その実現につなげてまいります。
さて、重大事件の発生から今年で丸6年が経過しました。
この間、入札監視委員会の設置や内部統制体制の整備などの再発防止策を講じることにより、公平公正で町民から信頼される役場づくりに努めてまいりました。
しかしその一方で、事件発生以降に採用された職員は既に100名を超え、約3割の職員が当時を知らない状況にあることから、事件を風化させることのないよう、職員研修をはじめ様々な機会を捉えてコンプライアンスの徹底を図ります。
4.むすびに
以上、私の施政方針について、説明させていただきましたが、令和7年度の予算編成では、一般会計の当初予算規模は、183億7,000万円となり、後ほど予算提案で詳しく説明申し上げますとおり、昨年度と比較して、21億400万円、12.9パーセントの増加となっています。
6つの特別会計の合計では、当初予算規模は、138億35万7,000円となり、昨年度と比較しまして、10億4,303万2,000円、8.2パーセントの増加となっています。
以上、7会計合わせて、321億7,035万7,000円となっています。
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更新日:2025年05月29日