若王寺(にゃくおうじ)

寺伝に行基の建立といわれています。あるいは別に、この地で貞観3(861)年、智証大師円珍が開いた円満院があり、同寺はそれに関連する寺院であったとも伝えられています。その後、僧経空慈典が京都・禅林寺(永観堂)から梵鐘を譲りうけ、同寺を復興しました。
南山城三十三所巡礼の観音霊場の第十六番札所

阿弥陀如来坐像(本尊):1躯[町指定有形文化財]

平安時代後期(10~11世紀)の作です。

智証大師坐像(大師堂本尊):1躯[重要文化財]

智証大師円珍(814~91)は、初期天台宗の高僧です。仁寿3(853)年に唐に留学し、天安2(858)年に帰国しました。第5世天台座主(ざす)となり、園城寺(おんじょうじ)(三井寺)を興して“寺門派の祖”となりました。園城寺には智証大師の肖像が2躯あり、一つを御骨(おこつ)大師、もう一方を山王院大師または御廟(ごびょう)大師と呼んでいます。この像は御骨大師像の模像として、平安時代後期に作られました。

梵鐘:1口

同寺を復興した禅林寺(永観堂)の僧経空慈典が、禅林寺からもたらしたものといいます。池の間の陽鋳銘に「文禄五丙申中秋二十五日 南無阿弥陀仏」とあり、桃山時代の作であることが知られています。さらに宝永6(1709)年の陰刻銘(追刻)により、若王寺復興時の事情を推測することができ、貴重です。

この他に、大師堂には千手観音立像地蔵菩薩立像(2躯)、五仏御正躰(ごぶつみしょうたい・いずれも江戸時代)などが安置されています。さらに、念仏講衆25人と講外35人の女性が寄進した、承応3(1654)年の裏書のある涅槃図(ねはんず)が蔵されています。文亀元(1501)年銘の石塔残欠もあります。

<所在地> 精華町大字下狛小字林前9番地
<連絡先> 0774-94-4055
若王寺
智証大師像

智証大師坐像

本堂

本堂

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更新日:2019年03月15日