ジャンボタニシ注意報

精華町でジャンボタニシの発生が確認されました。特に水稲の被害が見られ、若くて柔らかい葉を好んで食べるため、田植え後の水稲への食害が危惧されています。ご自身のほ場に発生がないか確認の上、対策を講じてください。

移植苗の食害を防止するため、田植え前後には、薬剤散布や浅水管理などの防除対策を組み合わせて実施することが重要です。

また、地域ぐるみで取り組めば、さらに効果的です。

ジャンボタニシとは

南米原産の淡水性の巻貝であり、食用として輸入したものが野生化し、問題となっています。主に出たばかりの若くて柔らかい葉を好んで食べます。寒さに弱いため、冬季は冬眠します。成貝は5センチメートル程度にまで成長し、長い触角を持ち、ピンク色の卵を産みます。卵は水に弱いため、稲の茎や水路の壁などに卵を産みます。なお、この卵には神経毒があります。

  • 深水となった部分で被害が生じやすく、食害された場合には、欠株となります。
  • 田植え後、約3週間までの柔らかく小さな苗を食害し、特に稚苗を移植した場合に被害が大きくなります。
  • 人体に有害な寄生虫が感染している場合があるため、防除を行う必要があります。なお、ゴム手袋やゴミ拾い用トングなどを使用し、素手では扱わないでください。もし、素手で触った場合には、石けんで手をよく洗いましょう。

ジャンボタニシと在来タニシの違い

ジャンボタニシの殻は在来タニシに比べて全体的に丸い形をしており、他のタニシ類に比べて、螺旋上部の長さが短く、殻径と殻高がほぼ同じです。なお、在来タニシは稲を食害することはありません。

令和2年の主な被害要因

  • 暖冬の影響(越冬した大きな貝が多く生き残ったことに気付かなかった)
    →例年どおりの防除を行ったが、甚大な被害が発生
  • 移植後の浅水管理が重要であることは理解しているが、本田の均平化ができていない、田植え後に大雨が降った等
    →結果として、深水となってしまい、甚大な被害が発生
  • 冬期湛水、緑肥栽培、減農薬栽培等に取り組む地域
    →厳寒期の耕耘や農薬散布等、基幹となる防除対策が取り組み難く、甚大な被害が発生

防除対策

貝や卵塊の駆除(通年)

卵塊は、水につけると死滅するため、産卵後早期に水中に払い落とすかつぶしてください。なお、貝や卵塊には寄生虫がいる恐れがあるため、素手では絶対に触らないでください。

また、冬期に田を耕うんすることで、貝を破砕するとともに、寒気にさらして死滅させます。

→土壌が乾燥して固い厳寒期(1月から2月)に、トラクターの走行速度を遅く、PTO回転を速く(ロータリーの回転を速く)し、土壌を細かく砕くように耕うん。なお、未発生ほ場への貝の持ち込みを防止するため、使用後のトラクターに付着した泥を洗浄してください。

厳冬期前に表層の土を細かく砕くイメージで耕うんを行ってください。

田の取水口にネットを設置し、侵入を防ぐ(取水期間)

取水口に9ミリメートル程度の網目のネットや金網を設置し、用水からの貝の侵入を防ぎます。(網目が粗すぎると小さな貝がすり抜け、細かすぎるとゴミで目詰まりするため注意が必要です。)

田植え前の石炭窒素(発生量が多い場合に実施)

水温が17度以上の時期に、3から4日間湛水を保った後、石炭窒素を散布してください。散布後、湛水したまま3から4日間以上維持し、代かきを行ってください。なお、稲に対する薬害を避けるため、散布から田植えまで7日間以上空けるようにしてください。また、魚毒性が高いため、漏水を防止し、散布後7日間は落水・かけ流しはしないでください。さらに、窒素成分を多く含むため、元肥の量を減らすなどの調整が必要となります。なお、使用に当たっては、農薬の容器に表示された使用方法等を必ず確認してください。

田植え時の薬剤散布(発生している場合に必ず実施)

薬剤の特性を考慮し、田植え時の本貝による被害が出る前に、発生状況に応じて全面散布、深水部分への局所的な散布等を実施してください。

(例)

  • メタアルデヒド粒剤:本貝に対する誘引性があり、摂食による殺貝効果があります。
  • 燐酸第二鉄粒剤:有機JASでも使用できる使用回数に制限がなく、摂食による殺貝効果があります。
  • チオシクラム粒剤:徐々に溶け出すことで多雨時でも本貝に対するマヒ効果が見込め、食害防止効果があります。

確実な効果を得るため、散布後しばらくの間、止水管理が必要です。なお、使用に当たっては、農薬の容器に表示された使用方法等を必ず確認してください。

田植え後、水位を浅くする(移植後2~3週間)

ジャンボタニシは、浅水では苗を食べることができないため、田植え後約3週間、水深4センチメートル(理想は1センチメートル)以下の浅水管理が有効です。

→水深が浅いと本貝の摂食行動が抑制されます。水田内を均平に保ち、水深が深くなる場所を減らすことが重要です。なお、浅水管理が困難な場合は、薬剤散布との組み合わせにより被害を防止してください。

農薬を適期に散布(移植後2~3週間)

スクミノンやスクミンベイトを散布し、防除します。なお、農薬は水田以外に使用しないでください。

休耕期の薬剤散布

休耕期である秋から冬に薬剤を散布することで、水田で越冬する小貝を死滅させます。なお、散布後数日間は必ず湛水し、止水管理を行ってください。また、稲にも害があるため、植代前か収穫後に散布するようにしてください。さらに、散布する場合は、施肥量を調整してください。

(例)

  • クニ印石炭窒素50
  • 軍配印石炭窒素55
  • 石炭窒素50:稲が枯れる恐れがあるため、入水から移植時には使用しないよう注意してください。
  • カルメート55 など

用水路の泥上げ(冬季)

用水路の泥上げを行い、越冬している貝を駆除します。

成苗移植

大きい苗を植えることによって、食害を防止します。

田畑輸換

畑にすれば貝は増殖しないため、田畑輸換によって被害を軽減します。

石灰窒素の安全な使い方

石灰窒素に含まれるシアナミド(農薬の成分)及びアルカリ分は人体・動植物に影響を与えます。そのため、以下の点に十分注意し使用してください。

  1. 散布する際は、吸い込まないようにするとともに、皮膚に付かないようにする。
  2. 手足が濡れていると、付着しやすく、かぶれの原因となる。
    • 作業後、体を洗い流し、洗眼・うがいをする。
    • 被服を交換し、他のものと分けて洗濯する。
  3. 石灰窒素を吸い込むと、酒類への耐性が弱くなる。散布後24時間以内の飲酒はしない。
  4. 周囲に飛散しないようにする。
  5. 夏季高温時に使用しない。

その他、容器に表示された使用方法等を必ず確認してください。

薬を使わないジャンボタニシ対策

  • ロータリー耕を行い貝の損傷に努めます。
  • 水路掃除等の際に貝を損傷させます。
  • 農機具は作業後土と貝を落として移動します。

ジャンボタニシが発生している地域やほ場では、被害ゼロを目指して、効果的な防除対策を組み合わせ、地域ぐるみで取り組みましょう。

農林水産省では、ジャンボタニシの被害軽減に資する防除対策ポイントや留意事項等を整理した指導者向け防除対策マニュアル及び生産者向け防除対策リーフレットをとりまとめ、公表しました。

マニュアル及びリーフレットは、以下のリンク先をご参照ください。

注意点

  • 貝や卵には絶対に素手で触らないでください。
  • 貝や卵は見つけ次第、必ず殺処分してください。

ご自身のほ場でジャンボタニシを発見された場合は下記連絡先までご連絡ください。

この記事に関するお問い合わせ先

事業部 農政課 農業振興係・農地保全係
〒619-0285 京都府相楽郡精華町大字南稲八妻小字北尻70番地

電話番号:0774-95-1903
ファックス:0774-95-3973
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更新日:2022年05月17日